技術 GPS/GNSS基準周波数発生器[GPSDO、GNSSDO]とは(概要、用語)

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GPS/GNSS基準周波数発生器(GPSDO、GNSSDO)とは

GPSなどのGNSS衛星* には超高性能の原子発振器が搭載されています。その精度は地上局より制御・維持されており、高確度かつ高精度の時刻情報を有しています。
GPS/GNSS基準周波数発生器は、GPS/GNSS信号を受信し、GPS/GNSS測位により求まる正確な時刻で発振器を制御して高確度かつ高精度なタイムパルス(1PPS)と基準周波数を出力する製品です。GPSDO(GPS Disciplined Oscillator)またはGNSSDO(GNSS Disciplined Oscillator)とも呼ばれます。

GPS/GNSS測位でタイムパルス(1PPS) と基準周波数を常に補正するため、定期的な校正作業が不要です。
また、搭載したTCXOやOCXOなどの安価な発振器を周波数制御することでルビジウムやセシウムなどの原子発振器に勝るとも劣らない性能を実現し、コストパフォーマンスにも非常に優れています。

今日では、地上波デジタル放送の放送局や携帯電話の基地局といった社会インフラをはじめ、各種無線通信システムなど、正確な時刻・基準周波数や、タイミング同期を必要とするシステムに広く利用されています。

*
GNSS (Global Navigation Satellite System)
全地球航法衛星システムとも呼ばれ、衛星の信号を受信して測位するシステムの総称です。
米国のGPSもその一種で、他にもロシアのGLONASS、欧州のGalileoなどがあります。日本でも2010年にQZSS(準天頂衛星)の「みちびき」が打ち上げられました。

周波数制御の例

衛星信号の受信が中断した時の対応(ホールドオーバ機能)

前述の通り、GPS/GNSS基準周波数発生器は、GPS/GNSS測位により発振器の周波数制御をおこないます。しかし、妨害波などの外来ノイズや、落雷によるアンテナ系の故障などによってGPS/GNSS信号の受信が途切れ、測位できない状態に陥ることもあります。
社会インフラにも使われるGPS/GNSS基準周波数発生器では、このような状態(ホールドオーバ状態)においても一定期間は高確度かつ高精度なタイミング(タイムパルス、基準周波数)の維持が求められます。
これを実現するのがホールドオーバ機能(ホールドオーバ制御)です。

GPS/GNSS測位ができないということは、通常、発振器本来の性能でタイミングを維持することになります。高い性能が要求される場合、高価な発振器を必要としますし大型化が避けられません。
フルノのホールドオーバ機能では、GPS/GNSS測位で発振器を制御中に発振器本来の周波数特性(経年変化や温度特性など)を把握するなどして、測位ができなくなった際にも、タイミング性能を維持するよう発振器を制御します。
発振器の周波数特性をいかに正確に捉えるかの技術が、ホールドオーバ機能の性能を大きく左右します。

フルノは、地上波デジタル放送の放送局や携帯電話の基地局といった国の根幹を支えるシステムに長年採用いただくなかで、発振器制御技術に改良を重ねてきました。
2015年1月に発表したマルチGNSS基準周波数発生器GF-8705(2015年1月発表)では、GNSS測位が24時間中断してもタイムパルス性能で1.5μs以内(仕様値)の確度という、業界最高クラスのホールドオーバ性能を実現しました。
マルチGNSS基準周波数発生器では、GPS、GLONASS、QZSS、SBASといった複数のGNSS信号を同時受信して測位します。たとえばGPSとGLONASSなど異なる周波数帯のGNSS信号を同時受信することで、妨害波等により片方が受信できなくなっても、もう片方の信号で測位して発振器制御できるため、ホールドオーバ状態になる可能性自体が低下します。

マルチGNSS基準周波数発生器GF-8705の1PPS確度(タイムパルス)性能【グラフをクリックで拡大】

定常状態(GNSS測位し、GNSSの時刻に1PPSが同期している状態)

ホールドオーバ状態

フルノのマルチGNSS基準周波数発生器

フルノのマルチGNSS基準周波数発生器は、複数のGNSS(GPS/GLONASS/QZSS/SBAS)信号の同時受信に対応したGNSS基準周波数発生器です。ホールドオーバ性能・基準周波数の位相雑音性能・サイズ・コストに応じて豊富な製品ラインナップがございます。いずれの製品も、耐環境性能としてアンチジャミング機能や耐マルチパス機能を備え、高確度・高精度かつ安定したタイミング性能をご提供します。

GF-8705 スペシャルサイト

※GF-8701/GF-8702/GF-8703、GF-8704/GF-8705はピンコンパチブル&同一出力フォーマット。
用途に応じて載せ替えが可能です。

用語解説

GPS/GNSS基準周波数発生器や発振器(TCXO、OCXOなど)の仕様で用いられる一般的な用語について解説します。

公称周波数

TCXOやOCXOなどで、発振器メーカーが記載する発振器の出力周波数です。(例:10MHz)。

確度(accuracy)と精度(precision)

確度とは、真値からどれだけ離れているかの尺度です。
また、精度とはある期間における確度のばらつきの尺度です。
一般的にこれらの尺度は公称周波数(真値)に対する相対値としてppm(10-6)やppb(10-9)といった単位で表現されます。
 周波数確度の場合、計算式としては以下で表されます。

周波数確度=(F-Fs)/Fs
  Fs:公称周波数、F: 実際の周波数

例えば公称周波数が10,000,000Hz(10MHz)に対して実際の周波数が10,000,001Hzだった場合
(すなわち1Hzズレている場合)

周波数確度 =( 10000001 - 10000000 )/ 10000000 = 1x10-7 = 0.1ppm = 100ppb

と表されます。

コヒーレント

タイムパルス(1PPS)と基準周波数がコヒーレントとは、例えば基準周波数が10MHzの場合、隣りあうタイムパルス(1PPS)間における基準周波数の波数が常に1000万個であることを指します。携帯電話の基地局など、多くの無線通信システムでは、タイムパルス(1PPS)と基準周波数がコヒーレントな関係であることが求められます。

発振器の種類

各種発振器の比較は右図の通りです。
フルノのGPS/GNSS基準周波数発生器は、GNSS測位によりTCXOやOCXOなどの発振器を制御することで、原子発振器に匹敵する周波数性能を提供します。

XO
Crystal Oscillator。安価で、多くの腕時計に使用されます。
TCXO
Temperature Compensated Crystal Oscillator。温度補償水晶発振器とも呼ばれ、周囲温度による発振器周波数のズレを自動補正します。
OCXO
Oven Controlled Crystal Oscillator。恒温槽付水晶発振器ともよばれ、恒温槽内の温度を一定に保つことで、恒温槽内の水晶発振器の周波数変動を低減します。
原子発振器
原子や分子毎の決まった周波数の電磁波を基準として、水晶発振器よりも高精度な周波数を出力します。

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