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ITS業界記事 自動運転におけるコネクテッドカーと路車間通信

 日産の自動運転車に試乗。重要課題はインフラ強調(V2I)

第45回東京モーターショー(一般公開2017年10月27日~11月5日)が終了して間もない東京・お台場地域。ここで、日産の最新型の自動運転車に試乗した。
思い起こせば、2年前にもお台場地域で日産の自動運転車を一般道路で試乗したが、今回は首都高速にて車線変更を自動でおこなうなど、より複雑な走行状況に対応するデモンストレーションとなった。

試乗中の車内で、日産で自動運転の先進開発の担当部長と「ITSとビッグデータ」に関して意見交換をした。
同氏が「高度な自動運転を実用化するための最大の課題」として取り上げたのが「インフラ協調(路車間通信:V2I《Vehicle to Infrastructure》)」である。
現在、路車間通信の代表例はETC(自動料金徴収システム)だ。通信方法として、5.8GHz帯域のDSRC(専用狭域通信:Dedicated Short Range Communication)を使用している。2015年からETC2.0へと進化して、新たなるサービス開始に向けて準備が進んでいることは、前回の 本連載記事 で紹介している。第45回東京モーターショーでもETC2.0の普及活動は行われているのだが、日産が「さらなる強化が必要だ」と主張する路車間通信はETC2.0を指しているのではない。

 各社、センシング領域外で必要な共通認識は「コネクテッドカー」

自動運転にとって、最も重要なことは「安全運行」だ。その安全とは、人間が運転するよりもさらに安全な領域であり、目指すのは事故ゼロという「究極の安全」である。様々な不可抗力を考えると「事故ゼロ」は不可能であるはずだが、人は自動運転に対して「完璧」を求めるものである。

こうした走行中の安全を担保するため、自動運転車には各種のセンサーが装着されている。例えば、今回試乗した日産の自動運転車の場合、カメラ、レーザースキャナー(ライダー)、長距離用と中距離用の77GHz帯域ミリ波レーダー、そして近距離では超音波センサー(ソナー)を搭載している。

だが、センシングできる距離は自車の前方向に数百メートル程度、自車の後方ではさらに少ない距離となっている。今後、センサーの性能を向上させてセンシング可能な距離を一気に増やす試みは行われない模様だ。
これは日産に限らず、トヨタなどの日系各社、ダイムラーやGMなど欧米各社でも同じ考え方を持っている。
数百メートルより先の情報は、「コネクテッドカー」の技術領域になる。

 周辺車両の情報は車車間通信(V2V)ではなく路車間通信(V2I)か

コネクテッドカーとは、クルマと外部が通信によって繋がり、クルマからクラウドへ、またはクラウドからクルマへとデータのやり取りが行われるシステムを指す。
自動運転については、天候、事故、工事、渋滞などの情報をクルマ側に送信することで、前述した「数百メートルより先」の道路状況を、自動運転車が先読みすることができる。こうしたビッグデータの活用方法は、既にETC2.0でも一部で実用化されている。これは、走行の予測である。

一方、今回の日産の自動運転車試乗で感じたのは、首都高速の料金所を過ぎて本線に合流する際、斜め後方から接近するクルマへのセンシングへの不安だ。合流地点の近くまで本線との間にコンクリートウォールやポールなどがある場合、自車のセンシングだけでは後方の車両の正確な位置が読み取れない。

そのために必要なのが、DSRCや700MHz帯域による、自車周辺のクルマとの位置関係を確認するためのライブ情報だ。
一見、これは車車間通信(V2V:Vehicle to Vehicle)に思えるデータのやり取りだが、実際には路車間通信を介することになるだろう。当然、車車間通信と比べてデータの解析やデータ送受信の遅延が起こるが、2020年代前半から本格的に普及が始まる次世代通信方式の5Gによって、そうした技術課題の一部が解決されることを期待したい。

今回、最新型の自動運転車を試乗して感じたのは、「レベル3からレベル4といった高度な自動運転を、事故ゼロを目指して実用化するためには、まだまだ課題が多い」ということだ。

桃田 健史氏

桃田 健史   自動車ジャーナリスト

専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。
一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。
インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。
海外モーターショーなどテレビ解説。
近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラダイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

 

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