技術 GPSとは

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1. GPSの概要

GPS(Global Positioning System)は全世界的な位置測位システムです。GPSは24時間いつでも、地球上のどこにおいても、誰もが簡単に使用でき、しかも高精度に位置を測定できます。

図1-1 GPS衛星の軌道

 

2. GPSのしくみ

三つのブロック構成

GPS は次の三つの要素で構成されています。

GPS衛星(スペース・セグメント)
GPS衛星は、約2万km上空の六つの軌道に、4基以上の衛星が配備されており、約12時間周期で地球を周回しています。
地上管制(コントロール・セグメント)
地上管制は、GPS衛星を監視したり制御したり、衛星の時刻や軌道が許容範囲を超えないように随時保守を行っています。
GPS受信機(ユーザー・セグメント)
GPS 受信機は、GPS衛星からの電波を受信し、位置を計算します。

図1-2 GPSの三つの要素

GPS測位について

GPS測位は、まず既知の点(GPS 衛星)から衛星が発信した時間の信号が送られてきます。その信号を受信した時刻との差で衛星までの距離を出します。同様に、他の衛星3つの距離を計算します。3つのGPS衛星からの距離を測ることで受信機の場所を特定することができます。しかし、3つの衛星からの距離を計算しても正確ではありません。原因は、受信機に搭載されている時計では距離誤差が生じるからです。衛星には、正確な原子時計が搭載されているので、時間の誤差はありませんが受信機の時計の精度は衛星ほど正確ではないので誤差が生じます。ここで、4つ目の衛星です。4つ目の衛星は、3つの衛星がはじき出した位置と4つ目の衛星からの時刻で算出した現在位置とを計算することで、誤差を少なくすることができます。図1-3は2次元での測位の例です。
二つの既知の点と、その点からの距離が分かれば、いま自分がどこにいるかが求まります。点Aと点BをGPS衛星に置き、既知の点を増やしたものが全体のシステムになります。

図1-3 測位位置の決定

GPSの信号について

GPS衛星は、L1波(1575.42MHz)とL2波(1227.60MHz)の二つの周波数を発信しています。送られてくる周波数は、民間用で使用できるC/Aコードと、軍事用のPコードの2種類あります。C/Aコードは各衛星の認識コードで構成されており、航法メッセージと呼ぶ情報も同時に送られてきます。衛星自身の軌道情報データはエフェメリス(Ephemeris)※1、すべての衛星の軌道データはアルマナック(Almanac)※2 と呼ばれています。この航法メッセージは、一秒間に50bitの信号速度で送られてきます。これらの情報から距離を測り、測定します。C/Aコードについては図1-4で示し、航法メッセージについては図1-5にまとめています。

※1 エフェメリスデータについて
位置演算に使用する衛星の正確な位置を示す軌道データで、放送した衛星番号の衛星のみが使用する固有のデータです。

※2 アルマナックデータについて
エフェメリスデータの簡易版です。受信した衛星を含めて現在運行しているすべての衛星の簡易な軌道データです。GPS受信機が現在位置と時刻を求めるに当たり使用可能な衛星を見つけるために利用します。全てのデータを取得するのに、12.5分かかります。

C/Aコードについて
GPS衛星のL1信号はC/Aコードという擬似ランダム符号で位相変調をかけられています。擬似ランダム符号は、PRN(Pseudo Random Noise code)符号とも呼ばれ、Gold系列として知られています。C/A コードは図に示すように、‘1’と‘0’の連続したデジタル信号のパターンです。GPSでは、この‘1’と‘0’のパターンが1023個続き、再び先頭に戻って繰り返されます。

図1-4 GPS衛星を識別するためのコード「C/Aコード」

航法メッセージについて
航法メッセージは、全体で25フレームの構成により作られています。一つのフレームは、5個のサブフレームから構成されています。サブフレームは300ビットで構成されており、1ビットのデータ長は20msです。1サブフレームの周期は6秒で、フレーム全体(5 サブフレーム)で1500ビットになります。したがって、1個のフレームの周期は30秒になります。全体のデータ数は25フレームですので、周期は30秒×25=12.5分になります。GPS受信機は電源投入後の初期時に、これらの必要なすべてのデータを収集するのに12.5分を要します。GPS受信機は内部のバックアップ電池により過去に収集したデータを保持しており、電源起動後にそのデータを読み出すことで、すばやく測位モードに移行します。

図1-5 航法メッセージ

 

3. GPS測位精度について

GPS測位の誤差要因
(1)電離層
大気中には電離層と言われる層があります。この層をGPS衛星の電波が通ると電波の速度が落ち、誤差が生じます。
(2)対流圏
電離層と同じく大気中に存在します。電離層とは違い、乾燥大気中と水蒸気中での電波の屈折で誤差が生じます。
(3)マルチパス
GPS衛星から発信された電波を受信した電波には、地面や構造物など、いろんなものに反射した電波があります。この現象をマルチパスと呼びます。この現象によって電波が乱れ、誤差が生まれます。

図1-6 測位誤差

DOP

DOPとは、GPS測位精度の劣化の程度を表す数値です。小さいほど精度が高いことを示します。値はGPS衛星の位置によって左右され、上空に衛星がまんべんなく配置されていると、精度が高くなります。

図1-7 DOP値小 図1-8 DOP値大

信号強度

信号の値の大小で受信状況がわかります。信号の値が大きい程、安定してGPS測位を行うことができます。それに対し、受信機の近くに雑音源があったり、周りに障害物があったりすると、信号値が小さくなり、安定したGPS測位を行うことができません。

図1-9 安定したGPS測位の例

図1-10 安定していないGPS測位の例

測位使用衛星数

衛星数の数で、GPS測位の受信状況が変わります。
捕捉した衛星数が多いと、安定してGPS測位が行うことができます。また、衛星数が少ないと、GPS測位が難しくなります。図1-11は、衛星数が多いことを表している図です。

図1-11 捕捉衛星数のイメージ図 図1-12 捕捉衛星数のイメージ図

※◎はGPS衛星を見立てています

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