技術
マルチGNSSタイミング受信機のアンチジャミング性能

  • タイミング市場

フルノのマルチGNSSタイミング受信機は、下記2つを併せ持つことで、優れたアンチジャミング(耐妨害波)性能を有します。

  • 異なる周波数帯のGNSS信号を同時に使用できること
    例えばGPS信号の帯域がジャミング(以下、ノイズ)の影響を受けて受信が途切れても、別帯域のGLONASS信号は受信できるため、測位の継続が可能
  • 機器内外のノイズを軽減するフルノ独自のアンチジャミング機能を搭載していること

GNSSタイミング受信機がノイズの影響を受けると、出力する時刻・タイムパルス(1PPS:Pulse Per Sec)の精度劣化や出力不能につながります。
ネットワーク間の時刻同期やサーバーのタイムスタンプといった用途や、携帯基地局やスマートグリッドといった社会インフラ用途など、時刻・タイミング同期が必要で、かつ高い安定性が必要なシステムでは、アンチジャミング性能がとても重要な意味を持ちます。

ここでは、フルノのアンチジャミング技術の評価事例をご紹介します。

評価内容

下図の構成の通り、ノイズを混入させたGNSS信号をGNSSタイミング受信機に入力し、同受信機が出力する1PPSの確度を測定します。
今回、フルノのマルチGNSSタイミング受信機GT-87と、従来のGPSタイミング受信機(アンチジャミング機能無し)の1PPS確度を比較することで性能評価をおこないます。

ノイズは、ある程度の帯域幅をもったものを想定してFM変調波とし、ノイズのパワーレベルを-95 dBmから徐々に上げながら、GNSSタイミング受信機の1PPS確度を測定します。


評価の構成図

評価結果

ノイズの各パワーレベルにおける、GNSSタイミング受信機の1PPS確度の測定結果を下図に示します。

従来のGPSタイミング受信機では、ノイズのパワーレベル-80 dBmから1PPS確度が劣化し、-76 dBm以上では1PPS出力が停止しました。1PPS出力の停止は、GPS信号の受信中断によるものです。
一方、マルチGNSSタイミング受信機GT-87では、高精度かつ安定した1PPS出力を継続しました。

このように、フルノのマルチGNSSタイミング受信機は、GNSS信号にノイズが混入した場合でも、これを検知して軽減するなど、悪影響を受けることなく安定した1PPSを出力できます。
今回の評価では、ノイズの周波数帯をGPS信号の帯域としましたが、アンチジャミング機能は、GLONASS信号の帯域でも有効に機能します。


1PPS確度の測定結果

受信機の障害対策

GNSSに起因する代表的な障害について、それぞれ技術白書をご提供します。
個々の障害に対して、受信機側ではどのような対策をしているのか、効果の程度、製品の選び方などを時刻同期専門のエンジニアが図表を交えながら解説します。
初めてGNSS受信機をご検討されるお客様はぜひ目をお通しください。

  1. マルチパス
    技術白書:市街地で世界最高水準の時刻精度
  2. ジャミング(妨害波)
    技術白書:GNSSジャミング(妨害波)への対策について
  3. なりすまし(スプーフィング)
    技術白書:GNSSなりすまし信号への対策について
  4. GNSS信号の受信中断
    技術白書:GNSS受信が中断した時の対策『ホールドオーバ』について

技術白書 ダウンロードフォームへ

イチからわかるネットワーク時刻同期

テレコミュニケーション 2021年12月号に掲載された特集記事「イチからわかるネットワーク時刻同期」を、特別にダウンロードできます。
同誌が複数企業を取材し、1社に偏らない、全体を包括した記事に仕上がっております。
誌面の見た目そのままのPDFをご覧いただけます。

同誌に掲載された、当社記事とあわせてご覧ください。
5Gモバイル通信を支える時刻同期の世界をご紹介します。

  1. 時刻同期とは
  2. 基準時刻の取得方法
  3. 時刻同期の方法
  4. ソリューション選定のポイント
  5. 時刻同期の市場展望

記事 ダウンロードフォームへ

関連製品

マルチGNSSタイミングモジュール

UTC(協定世界時)に同期した高精度のタイムパルス(1PPS)を出力します。

マルチGNSS基準周波数発生器

UTC(協定世界時)に同期した高精度のタイムパルス(1PPS)と、タイムパルスにコヒーレントな基準周波数を出力します。また、GNSS信号を受信できない状態(ホールドオーバ状態)でも、高精度なタイミング出力を維持する機能を備えております。

[TCXO/OCXO搭載]
[OCXO搭載]

技術一覧