GPS(Global Positioning System)は全世界的な衛星測位システムです。GPSは24時間いつでも、地球上のどこにおいても、誰もが簡単に使用でき、しかも高精度に位置や時刻情報を取得できます。
GPS は次の三つの要素で構成されています。
GPS測位は、まず既知の点(GPS 衛星)から衛星が発信した時間の信号が送られてきます。その信号を受信した時刻との差で衛星までの距離を出します。同様に、他の衛星3つの距離を計算します。3つのGPS衛星からの距離を測ることで受信機の場所を特定することができます。しかし、3つの衛星からの距離を計算しても正確ではありません。原因は、受信機に搭載されている時計では距離誤差が生じるからです。衛星には、正確な原子時計が搭載されているので、時間の誤差はありませんが受信機の時計の精度は衛星ほど正確ではないので誤差が生じます。ここで、4つ目の衛星です。4つ目の衛星は、3つの衛星がはじき出した位置と4つ目の衛星からの時刻で算出した現在位置とを計算することで、誤差を少なくすることができます。図1-3は2次元での測位の例です。
二つの既知の点と、その点からの距離が分かれば、いま自分がどこにいるかが求まります。同時に、正確な時刻も求まります。点Aと点BをGPS衛星に置き、既知の点を増やしたものが全体のシステムになります。
GPS衛星は、L1波(1575.42MHz)やL2波(1227.60MHz)、L5波(1176.45MHz)などの複数の周波数を発信しています。送られてくる信号で代表的なものは、民間で使用できるC/Aコードです。C/Aコードは各衛星の認識コードで構成されており、航法メッセージと呼ぶ情報も同時に送られてきます。衛星自身の軌道情報データはエフェメリス(Ephemeris)※1、すべての衛星の軌道データはアルマナック(Almanac)※2 と呼ばれています。この航法メッセージは、一秒間に50bitの信号速度で送られてきます。これらの情報から距離を測り、測定します。C/Aコードについては図1-4で示し、航法メッセージについては図1-5にまとめています。
※1 エフェメリスデータについて
位置演算に使用する衛星の正確な位置を示す軌道データで、放送した衛星番号の衛星のみが使用する固有のデータです。
※2 アルマナックデータについて
エフェメリスデータの簡易版です。受信した衛星を含めて現在運行しているすべての衛星の簡易な軌道データです。GPS受信機が現在位置と時刻を求めるに当たり使用可能な衛星を見つけるために利用します。全てのデータを取得するのに、12.5分かかります。
DOPとは、GPS測位精度の劣化の程度を表す数値です。小さいほど精度が高いことを示します。値はGPS衛星の位置によって左右され、上空に衛星がまんべんなく配置されていると、精度が高くなります。
信号の値の大小で受信状況がわかります。信号の値が大きい程、安定してGPS測位を行うことができます。それに対し、受信機の近くに雑音源があったり、周りに障害物があったりすると、信号値が小さくなり、安定したGPS測位を行うことができません。
衛星数の数で、GPS測位の受信状況が変わります。
捕捉した衛星数が多いと、安定してGPS測位が行うことができます。また、衛星数が少ないと、GPS測位が難しくなります。図1-11は、衛星数が多いことを表している図です。
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