建設DXジャーナル 現場3.0の最前線 建設DXジャーナル 現場3.0の最前線

建設DX関連記事 建設DXジャーナル始動!
~令和時代のデジタル改革、現場3.0の情報をお伝えします!~

はじめまして、建設DXジャーナル編集長の石野と申します。
今回から「建設DXジャーナル」と題して、建設DXの最前線におけるさまざまな技術や取り組みを、このサイト内でご紹介させていただくことになりました。

フルノでは、日々の業務を通して、さまざまな現場業務の課題を持つお客さまと接点をもっております。特に私は、建設業界の課題に取り組む部署に所属しているため、業界の課題解決に携わるさまざまな方々とお話をする機会があります。

その中で感じることは、建設業界の課題解決の鍵を握るのは、やはりDXだということです。現場の人手不足が問題視されて久しくなりますが、業界は積極的なデジタル改革を進めており、人手不足解消をはじめとしたさまざまな課題解決に取り組んでいます。

そこで当社も、このページを通して業界をリードするスペシャリストの方々にご登場いただき、他の媒体では得られないような建設現場の最新情報をお伝えできればと考えました。それが、この度本ジャーナルを始めることになったきっかけです。本ジャーナルでは、令和の時代は建設業界においても激変が訪れるという意味で、副題を「現場3.0の最前線」としています。どのようなテックで業界は変わっていくのでしょうか。

皆さまにとって有益な情報となるよう、毎回興味深いテーマをピックアップしてお届けしまいりますので、どうぞご期待ください!

 デジタル化による人手不足の課題解決が急務の建設業界

目の前に迫る建設業界の「2024年危機」

令和の時代に入り、デジタル改革の動きが加速しています。デジタル庁の発足は、まさに国を挙げてのデジタル化への大号令といえるでしょう。今後は分野を超えたさまざまな業界が連携することによって、あらゆる業態・サービスのデジタル化が実現すると予測されます。

その一方で、日本では人口減少によって労働人口が減少し、人手不足が深刻な問題となっています。特に建設業界は「2024年危機」が目の前に迫っており、職人の高齢化に伴う大量離職の問題を、何とか解決しなければなりません。

人員が減るだけでなく、今後は残業上限規制も適用されるため、いかに少人員で短時間に工事をこなせるかが、現場での大きな課題となっています。

センサーやロボットを利活用して業務を軽減

現場無人化のイメージ

そこで、「省人化」「効率化」への対策として有効なのが、業務のデジタル化です。すでにサービス業では、先行して無人化が実現しており、コンビニはその代表的な例といえるでしょう。

例えば高輪ゲートウェイ駅のAI無人決済コンビニ「TOUCH TO GO(タッチトゥゴー)」では、カメラと赤外線、AIを使ったシステムを導入してレジを撤廃。最新のテクノロジーにより、スキャン自体が不要なものとなりました。

またホテル業においては、「変なホテル」が徹底的なロボット化を図り、フロントや清掃業務の省人化に成功して話題を呼びました。レストランの配膳ロボットも、最近はあちこちの飲食店に導入されるなど、見慣れた風景になってきています。

このように、センサーやロボットなどのデジタル技術の利活用が進むことで、人が行う業務の一部を軽減することができます。

もちろん高度な技能になってくると、ロボットで代替するには難易度が高いケースも、少なくありません。しかし、積極的にデジタル活用を行い、目先の課題から着実に効率化を図っていくことによって、業務負担の軽減が実現されていくことは間違いないと考えられます。

 「建設DX」をキャッチフレーズに、デジタル改革を推進

デジタル技術を建設の計画・設計・施工などの各段階に導入

建設現場のデジタル化イメージ

デジタル化が進んでいるのは、建設業界も同じです。いま業界では「建設DX(デジタルトランスフォーメーション)」をキャッチフレーズに、デジタル改革が進んでいます。

AI(人工知能)やICT(情報通信技術)、IoT(モノのインターネット)をはじめとするデジタル技術を、建設の計画・設計・施工などの各段階に取り入れることで、業務の省人化や高速化・高度化を実現すべく、業界が一丸となって取り組んでいます。

まだまだ労災も多い職場ですので、建設DXによる効率化と併せて、安心・安全に関わる効果も期待されています。

PCやWeb会議システムなどを使った建設業務の効率化が進む

そんな中、建設現場ではここ数年で、タブレットPCの導入が劇的に進んでおります。図面や書類の電子化が実現し、工程や現場写真の管理といったアプリも、ラインナップが豊富です。

現場への入退場も、顔認証化が進んでおり、「顔パス」入場も実現しています。煩雑だった紙台帳などの管理業務も、だいぶ軽減できるようになりました。

また、国交省管轄の現場においては、原則として「遠隔臨場」を適用することが義務づけられています。遠隔臨場とは、Webカメラによって遠隔で現場確認を行うシステムのことです。

このようにWeb会議システムやチャットツールなどのリアルタイムなコミュニケーションツールが普及することで、現場に出向かなくても、オンラインで検査などの業務ができるようになりました。

省力化だけでなく、移動にかかる時間やコストも、大幅に削減できます。もちろん、まだまだ現場でなければ対応できない業務も数多くありますが、遠隔施工は今後一層広がっていくことでしょう。

携帯電話回線の代わりとして活用される「無線LAN」

遠隔施工を実現するためには、高速で安定した通信環境が必須となります。しかし現状では、ビル現場の高層階や地下階、トンネル現場の坑内などでは、携帯電話の回線もつながっていません。そのため、デジタル化を進めたくても現場側とのコミュニケーションが円滑に行えないという、通信面での課題があります。

ところが、現場内に携帯電話の電波を中継する装置を置くためには、免許を有する携帯電話会社が行わなければなりません。それには多大な費用が生じるため、現実的には難しい状況です。

そこで、簡便な通信インフラとして広く活用されているのが、「無線LAN」です。無線LANは通信容量の制限がない高速回線ですので、音声や映像の伝送にも有用で、今後ますます採用が増えるものと考えられます。

 現場3.0とこれから

建設現場で働く人々にとって真に役立つデジタル化を

建設DXのイメージ

このように、平成から令和に変わり、建設現場でも新しい時代のデジタル改革が求められています。単に業務をデジタルに置き換えて生産性を向上させるだけでなく、現場で働く人々にとって真に役立つデジタル化を進めることが、今後はより重要になってくるでしょう。

遠隔施工の実現は、現場で働く人々の負担を軽減し、労働環境の大幅な改善につながることが期待できます。

また、建設現場ではドローンが巡回し、自動搬送車が資材を運搬するなど、「無人化」と「一部自動化」の取り組みも進んでいます。遠隔地からのロボット操縦ができれば、建設業のリモートワークも可能となり、ますます働く環境は改善されるでしょう。

建築現場の最終目標は、やはり「ロボットによる自動施工」ですが、遠隔施工の実現はその重要な足がかりとなるものです。

遠隔施工には大容量かつリアルタイムのデータ伝送を必要とするため、現在5G(第5世代移動通信システム)網の現場導入が検討されています。今後はこのように、より高速な通信インフラの要望が、増えることが予測できます。

デジタルとアナログがうまく共存していくことが大切

これまで建設現場で進むデジタル改革についてご紹介してきましたが、とはいえ施工に関しては、まだまだ熟練者の技能がものをいうアナログの牙城です。

一見簡単そうな作業に見えても、そこには高度な匠の技が隠れていますし、職人技をAIとロボットですべて補うことは難しいのが現状です。そのため、建設DXにおいてはすべてをデジタルに置き換えるのではなく、デジタルとアナログがうまく共存していくことが大切です。

また、デジタルかアナログかという問題だけでなく、「バーチャル」という第三の領域も、成長が期待されています。新たなテクノロジーを現場目線で使いこなすことによって、創意工夫をしながら現場変革を進めていくことが、いま求められています。

本ジャーナルでは、このような建設DXの市場や技術動向、現場での最前線の取り組みを、キーパーソンへのインタビューなどを通してお届けしたいと思っております。

業界関係者必見のコンテンツを、タイムリーに熱く、盛りだくさんの内容でお伝えしてまいりますので、ぜひお読みいただけたら幸いです。

記事のライター

石野祥太郎

石野 祥太郎   建設DXジャーナル初代編集長/古野電気株式会社

無線の技術者として新技術や製品開発に従事、建設DXの社内プロジェクトを推進

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