フルノは、2023年12月13〜15日に東京ビックサイトで開催された「第8回 JAPAN BUILD TOKYO -建築の先端技術展-」に出展し、当社ブース内で3日間にわたり「建設DXセミナー」を開催しました。建設DX Journalでは、セミナーのダイジェストを紹介します。
今回は、「建設現場向けWi-Fiシステムを活用した建設DXについて」をテーマに、日建リース工業株式会社 営業本部 ハウス備品事業本部 ICT推進部 課長の近藤克彦氏が、電波不感地帯の多い建設現場でのクラウドカメラの活用などについて紹介しました。
建設現場において、通信環境は現在必須のインフラとなっており、通信がない状況は今後の建設現場では考えられません。電話連絡やチャットのやり取りはもちろんのこと、図面の共有や業務報告の情報共有、クラウドカメラ、ドローン、位置情報システム、ICT建機、4足ロボットなど、建設現場ではさまざまな用途で通信を使用しています。
そんな中、建設現場の通信環境は、どのようになっているのでしょうか?日本の通信環境は、通常は携帯回線(LTE)の環境があり、主要エリアの回線エリアは人口カバー率の99%を超えています。しかし、建設現場においては必ずしも携帯回線のエリア内ではなく、エリア外の建設現場では通信環境が整備されていない場合が多く存在しています。そのような場合は、Wi-Fi環境を構築したり、近年では衛星回線を使用するケースもあります。
建設現場でWi-Fiを使用するのはどのような場所かというと、電波の不感地帯である地下や、地上から30メートルを超える高層階、トンネルの中などです。それ以外にも山岳地帯や、外壁を取り付けたビルの建築現場などは、電波不感地帯であるケースが少なくありません。都心部でも広大な現場の中心部分は、電波が届かないこともあります。
不感地帯以外でも、大規模現場で人が増えてくると携帯回線が不安定になったり、現場で個人の携帯電話を使用している場合は、通信容量が足りなくなってしまったりします。また、たとえ携帯回線エリア内であっても、電波不感地帯や携帯回線が不安定になる場所というのは、数多くあります。
建設現場で使用されているクラウドカメラには、180°撮影が可能なカメラから、複数ポイントを撮影できるカメラ、名刺サイズのカメラまで、さまざまあります。通信機能一体型のものが多く使われていますが、現場の状況によっては、分離型カメラを使用する場合もあります。
弊社では、建設現場の用途に合わせて、さまざまな種類のクラウドカメラを用意しています。携帯回線(LTE)を使用するカメラとしては、現場の出入口などの定点観測に最適な魚眼レンズ搭載カメラ、1台で複数ポイントをモニタリングできる可動式レンズ搭載カメラ、遠隔臨場で使用可能な名刺サイズのカメラなどがあります。
Wi-Fiを使用するカメラには、水平180°撮影が可能な魚眼レンズタイプのカメラやレンズ稼働(PTZ)タイプのカメラなどがあります。
クラウドカメラは実際に建設現場で、どのように使われているのでしょうか?弊社の具体的な事例を挙げて紹介します。
まずは高層工事の事例です。お客様から「タワークレーン上部から現場全体を確認したい」という要望がありました。タワークレーン上部は地上30メートルを超える高所なので、携帯回線(LTE)の電波は届きにくい環境です。そこでカメラ部をタワークレーン上部に設置し、地上より約30メートル付近に設置した通信ルーターまでLANケーブルで接続することで、事務所から現場全体を確認することができるようになりました。
次に、地下工事の事例です。「地下工事の状況を遠隔で確認したい」というお客様からの要望がありました。一体型カメラはLTE通信ができる場所に設置する必要があるため、分離型カメラで対応しました。
そしてカメラ部を地下エリアに設置し、坑口(地上部)に設置した通信ルーターまでLANケーブルで接続することで、地下の作業状況を事務所から確認することが容易になりました。
山間部工事の事例も紹介します。お客様から「事務所が離れているが、現場の状況を事務所から確認したい」という要望があり、現場はLTE通信ができない山間部なので、Wi-Fi環境を構築しました。これによって、現場の状況をクラウドカメラで確認することができるようになりました。
このように、建設現場のさまざまな場所でクラウドカメラを使用することによって、携帯の電波が届かない高所や地下、山間部でも現場の状況を遠隔で確認することができます。
フルノでは、自社のWi-Fiソリューションやセンサーソリューションと共に、日建リース工業様のクラウドカメラもご提案しています。自社製品だけでなく、優れた技術やサービスを持つ他社と共創することによって、新たな価値を生み出すことができます。Wi-Fiとセンサー、カメラを組み合わせて、建設現場のDX化を促進いたします。
無線の技術者として新技術や製品開発に従事、建設DXの社内プロジェクトを推進
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