FURUNO GPS開発ヒストリー

進化するGPS(GNSS)モジュール

初期のGPS受信機

黎明期のGPS受信機はタワー型デスクトップパソコンぐらいの大きさがありました。船舶向けに市販しはじめたのは1980年代の後半からです。当時、海洋で位置を測るシステムとして、ロランA、ロランC、デッカなどがありましたが、これらは近海でしか利用できませんでした。外洋で使えるのは天測、サテナブ(旧式の衛星航法システム)、そしてオメガぐらいでした。いずれも位置精度が悪く、1~3海里(1.8km~5.4km)もの誤差があり、外航船舶用の高精度な全地球測位システムが渇望されていたのです。
当社で最初に開発したGPS受信機はディスクリート部品で構成されたとても大きな装置でしたが、約20mという高い位置精度が得られるためサイズは問題にはなりませんでした。
問題点といえば、1日にたったの3時間しか測位できないことでした。これはGPS衛星の数が少なかったからです。

自動車への利用が始まる

1990年ごろ、いくつかのメーカーからカーナビゲーション・システムが発売されるようになりました。衛星の数が増えてほぼ24時間の測位が可能になったのです。自動車分野でGPSが爆発的に普及することは容易に想像できることでした。そのため大量生産が前提の半導体GPS受信機ICも現実的になり、いっきに小型化と低コスト化が進む状況が整いました。GN-72は1992年に車載規格を満たした本格的なナビゲーション用受信機です。GPS専用回路である「相関器」を1チップに集積していましたが、CPUやフィルタ、アナログICなどのサイズが大きかったため、どうにかナビ本体に押し込むような状態でした。しかも高価だったため、十分に普及しませんでした。

半導体技術の進歩による小型化

1990年代の後半、半導体の集積化が急激に進み、次々と部品が統合されていきました。年表をご覧いただくとわかるように、世代が代わるたびにサイズが1/2ずつ小さくなっています。1999年モデルのGN-79は微細化された半導体プロセスで作られたディジタルICを搭載して大幅に小型化されました。このディジタルICはマスクROMとSRAMも集積しています。2001年に登場したGN-80はアナログ部とデジタル部の2チップ構成です。

高感度技術の登場

2000年代に入り、GPS受信機の利用場所の拡大化が進みました。GPS信号はとても微弱な電波のため、屋内はもちろん、屋外であっても、ビルや高架下といった遮蔽環境では測位できないことがあります。そこで登場したのが高感度技術です。屋外で通常受信できる信号レベルの1/1000という微弱な信号をも検出し、上記環境での測位を可能にしました。eRideOPUSシリーズは、高感度技術に加えて、GPS信号が遮蔽される環境でも正確な位置情報を提供できるデッドレコニング機能(※)を搭載し、GPS受信機の利用場所がさらに拡大しました。

  • デッドレコニング機能
    GPS信号に加えて加速度センサーやジャイロセンサーなどの情報も使用し、GPS信号が受信できない環境でも位置を求める機能。自律航法、推測航法とも呼ばれます。

GPSからマルチGNSSへ

これまでは「測位システムといえばGPS」が一般的でした。本来、衛星を使った測位システムはGNSS(全地球航法衛星システム)と呼ばれます。GPSとはGNSSの中でも米国の測位システムのみを指しますが、実運用の測位システムにはGPSしかなく、GPSという単語が一般に使われていました。 近年では、欧州やロシア、中国といった米国以外の国々が次々と自国版のGNSSを構築しつつあります。欧州:Galileo、ロシア:GLONASS、中国:BeiDou など。日本でも、QZSS(準天頂衛星システム)として2010年に"みちびき"が打ち上げられました。各国がGNSSを構築することで使用できる衛星の総数が増えると、測位性能が向上します。また、各国が自国のインフラのみで位置を使った様々なサービスを提供することができるようになります。eRideOPUS 7シリーズは、これらの衛星すべてに対応した1チップのマルチGNSSチップです。(※)

  • GLONASSは対応済、GalileoやBeiDouは衛星システムが構築中のため、対応予定

GPS(GNSS)の用途の拡大

現在も当社では様々なGPS(GNSS)受信機を開発・製造・販売しています。自動車分野ではアンテナ一体型受信機や高感度受信機を展開。地震計や携帯電話の基地局、地上デジタル放送の送信設備などのインフラ向けには、タイムトランスファー受信機「GTシリーズ」やGPS周波数発生器「GFシリーズ」を納入し、GPSから得られる正確な時刻情報を活用いただいています。高感度化やマルチGNSS化に加えて、この先もGPS(GNSS)受信機はさらなる進化を遂げ、さまざまな機器に普及していくことでしょう。これまでは考えもしなかった意外な装置にGPS受信機を発見することがあるかもしれません。

技術一覧

GPSとは

時刻同期車載/産業
マルチGNSS(多周波GNSS)技術

時刻同期車載/産業
耐マルチパス機能

時刻同期車載/産業
アンチジャミング

時刻同期車載/産業
マルチGNSSタイミング受信機のアンチジャミング性能

時刻同期
GPS/GNSS時刻同期に悪影響を与える代表的な障害

時刻同期
時刻同期用GPS/GNSSアンテナの選び方と注意点

時刻同期
フルノGPS/GNSS基準周波数発生器[GPSDO、GNSSDO]

時刻同期
GNSSの信頼性維持は“ベンダーの使命”。 ジャミングなどの妨害に鉄壁の防御

時刻同期
世界の重要インフラを強くする!時刻同期は2周波GNSS受信の時代へ

時刻同期
グランドマスタークロックとGPS(GNSS)タイミング技術

時刻同期
スマートグリッドとGPS(GNSS)タイミング技術

時刻同期
「携帯基地局」とGPSタイミング技術

時刻同期
「地デジ放送局」とGPSタイミング技術

時刻同期
「地震計」とGPSタイミング技術

時刻同期
車車間通信/路車間通信 (インフラ協調システム、ITSコネクト)

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10億分の1 秒の世界を整える驚愕の技術。日本のインフラを支えるフルノの"時刻同期" vol.1(公式note:海の音)

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時刻同期
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