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ITS業界記事 自動車専用の輸送船の見学と最新型のハイブリッド車の試乗

 スバルのSTEPを体感

スバルは9月10日から14日にかけて、神奈川県の川崎臨海地域で興味深いイベントを開催した。「新型フォレスター STEP体験試乗会」とスバルテックツアー No.9「東扇島物流センター・船積み見学会」だ。
STEPとは、スバルが新しい中期経営計画で掲げたキーワードだ。Speed(スピード)、Trust(信頼)、Engagement(共感)、Peace & mind & Enjoyment(安心と愉しさ)を指す。

今回はこのSTEPというキーワードを、新型フォレスターを対象として別の意味合いを持たせた。
Sは、新しい車体構造のSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)と車体形状のSUV。Tは、予防安全技術のアイサイトの最新版、ツーリング・アシスト。Eは、ハイブリッド車の「e-BOXER」。そして、Pは、パブリックロード(公道)という解釈だ。

今年 6月に発売された新型フォレスター。日本国内仕様ではエンジンが2種類ある。2.5リッター水平対向エンジン、そして2.0リッター水平対向エンジンのハイブリッド車だ。
9月14日のプレスリリースによると、予約販売から9月13日までの受注台数は1万3282台。このうちの4割をハイブリッド車の「e-BOXER」が占める。
今回の試乗会では、「e-BOXER」の公道での使い勝手を体感した。川崎臨海地域の一般道から、首都高速横羽線で横浜のみなとみらい地域を目指し、そこで2.5L車に乗り換えて再び川崎臨海地域へ戻る。時間にして約3時間の行程だ。

 改めて感心するアイサイトの凄み

新型フォレスターのSTEP、実際にどのように感じたかを順を追って説明したい。
まず、新型車体のSGPは、フラットライドと乗り心地を両立している。SGPは2017年に発売されたインプレッサ、そしてXVで採用され、ユーザーやメディアから高い評価を得ている。これら2モデルに比べて車高が高いフォレスターの場合、SGPの良さがさらにしっかり体験できる。高い剛性がある車体によって、運動量が大きなサスペンションの能力を十分に発揮できるからだ。

次に、ツーリング・アシストだが、改めてアイサイトの性能の高さに驚いた。アイサイトは車内に設置したステレオカメラと呼ばれる2つのカメラによって画像認識を行う。「ぶつからないクルマ」というテレビコマーシャルでお馴染の技術である。
新型フォレスターでは、渋滞時の操舵の補正の性能を上げている。操舵の補正とは、事実上の自動操舵(自動ステアリング)である。ステレオカメラが路面の白線や周囲の状況を検知して、車線の中央を走行するように操舵を補正する。こうしたシステムは、日産の「同一車線での自動運転技術」の他、ホンダのホンダセンス、トヨタのトヨタセーフティセンスなど、自動車メーカーそれぞれが違った技術を使って量産化している。

そうした中で、やはりアイサイトの最新バージョンであるツーリング・アシストは、他社よりも一歩先の体験をユーザーに提供している印象だ。操舵の補正の量はかなり大きいのだが、けっして運転者の意思に反するような動きをしない。あくまでも、走る愉しさを重視するという開発思想があるのだ。
ツーリング・アシストの性能の高さは、こうして記事にしても読者に伝わらないだろう。是非一度、実際に体感して頂きたい。

そして、STEPのEである、ハイブリッド。こちらは、ステアリングにあるスイッチでモーターの作動の強さを変えることができる。最も強くモーターを効かせると、停止状態からアクセルを踏み込んだ時、力強いのだがけっして強引ではない心地良い加速が味わえる。

 5000台規模。自動車専用の輸送船を見学

新型フォレスターの試乗を終えた後、商船三井の関係者による自動車専用の輸送船の見学会が行われた。
スバルは近年、アメリカを主体とする海外での販売が好調だ。フォレスターの場合、2017年は世界販売台数約28万台のうち、アメリカ市場向けが約18万台。これは、日本国内向けの約9倍に及ぶ。
アメリカ向けでは、インプレッサが日本国内生産からインディアナ工場での生産へと切り替わったが、フォレスターは全てが日本国内で生産して輸出している。 
輸送の経路は、群馬県の太田市の工場からトラックで川崎まで輸送し、自動車専用の輸送船でアメリカを目指す。

今回の見学会では、フォレスターの他、スポーツカーのBRZなど約1300台が搭載されていた。使用している船は、2011年に就航した、商船三井のFLEXIEシリーズの「ORCA ACE」。全長199.9m×全幅32.2m×全高50.0mだ。船の幅は、パナマ運河を運行するための最大サイズである「パナマックス」に対応した。なお、パナマ運河は改良され、さらに大きな船の運航も可能となっている。
総トン数は4万9708トン。最大積載台数は小型車の場合、約5000台。デッキの数は11階層ある。

自動車の積み込みは自走で行う。監督者、ドライバー(5~7人)、車体をデッキに固定する人など約20人が1組として作業する。この1組のことを通称、ギャングと呼ぶ。
1ギャングあたり、1時間で約80台を積み込む。今回の船の場合、3ギャングが対応していた。
船内まで走ってきてから後退して駐車するのだが、1度ハンドルを切った後は修正をせずに駐車する。車両の間隔は左右が10㎝、前後が30cmに決められている。

機関室を見学した後、操舵室で船長から説明を受けたが、海図はデジタル化されていた。
この船は、9月14日に川崎を出て、平均速度が約18ノット(時速約33キロメートル)で運行し、13日後の9月27日にアメリカのワシントン州のバンクーバーに寄港する予定だという。

記事のライター

桃田 健史氏

桃田 健史   自動車ジャーナリスト

専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。
一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。
インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。
海外モーターショーなどテレビ解説。
近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラダイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

 

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