ITSアジアパシフィックフォーラム(2018年5月8日~10日:福岡国際会議場)が開催された。ITSはインテリジェント・トランスポート・システムズ(高度交通システム)の略称で、次世代自動車の開発に重要な役目を持つ。
ITSフォーラムについては、世界全体、欧州、そしてアジアパシフィックの3つの括りがあり、日本でITS関連のフォーラムが開催されるのは、1995年の東京開催以来22年ぶりとなる。
今回、アジア及びオセアニア各国の政府、自動車メーカー、自動車部品メーカー、IT関連メーカー、そして大学などの研究機関が展示会での出展や講演を行った。主な項目として、技術面では自動運転やコネクテッドカー、そしてサービス事業についてはMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)に関する発表が多かった。
また、各国政府が今後、MaaS関連の施策を進める上で強調したのが、街のリデザインだ。バス、電車、路面電車、自転車、タクシー、ライドシェアリング、そして歩行を効率よく組み合わせることで、都市部での渋滞解消と温室効果ガス削減を目指す。
90年代から構築されたITSという考え方で、その初期段階で世界をリードしたのは日本だった。
その背景には、官民が連携した様々なサービス事業がある。
例えば、DSRC(狭域通信)を活用したETC(自動料金徴収システム)を全国の高速道路で導入。渋滞などの交通情報を車載器に通知するVICS(ヴィークル・インフォメーション・アンド・コミュニケーション・システム)を、首都圏を皮切りに導入した。
また、日本は世界で最も車載カーナビゲーションシステムが普及している国であり、カーナビゲーションの商品開発で企業間での技術競争が進んだ。
そうした中で、今回のITSアジアパシフィックフォーラムでは、交通量や自動車の位置を測定するために道路側に設置する様々なセンサーの技術やその活用の取り組みに注目が集まった。
以下に、各社の取り組みをまとめた。
道路側に設置する二つの電波受信器で、走行する車の位置を測定するシステム。走行する移動体から発信される電波は、ETC/ETC2.0やWi-Fiなど各種に対応可能。実用化に向けて研究開発中。
ETC/ETC2.0に対応する小型DSRCシステム。年末年始や夏休み期間など繁忙期に簡易的に設置することを目的とする。九州と沖縄の一部高速道路で実験的に導入済み。
以上のような各種のセンシング技術やその活用によって、ITSに関する新たなるビジネスモデルが日本から世界に向けて発信されることを期待する。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。
一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。
インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。
海外モーターショーなどテレビ解説。
近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラダイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。