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ITS業界記事 「まちづくり」としてのMaaS (Mobility as a Service)、国家プロジェクトとして本格的に推進

 「モビリティサービス地域連携会議」は事前予約で220席が満席

2019年2月15日午前10時、JR東京駅近くのカンファレンスルームには、ビジネススーツ姿人たちが詰めかけた。用意された220席は、ネット上の事前予約で開催2週間前にはすでに埋まっていた。
この集まりの名称は「モビリティサービス地域連携会議」。主催したのは、経済産業省だ。

開会の挨拶にて筑波大学名誉教授の石田東生氏は「EV (電気自動車)や自動運転など、これまで様々な連携会議があり、私も座長を務めてきたが、今回取り扱うモビリティサービスは日本での普及が急務である。そのため、真剣な議論が必要だ」と強調した。
続いて、経済産業省の自動車課・参事官の小林大和氏、国土交通省・総合政策局・公共交通政策部・交通計画課の蔵持京治課長が、国としての方針と、本事案に対しての意気込みを語った。
さらに、全国各地の地方自治体から群馬県前橋市、神奈川県横須賀市、茨城県つくば市、福井県永平寺町、福島県南相馬市、広島県三次市(およびマツダ)の関係者が各地の交通実情や、それぞれの地域特性を考慮した新しい交通施策を紹介。
その後、民間企業としてNTTドコモ、JR東日本、ソフトバンクが新しい交通システムサービスの詳細を述べた。
なぜ、このタイミングで、こうして連携会議が開催されたのだろうか?

 全国各地でMaaSのアクションプランを実施

ここ数年、自動車産業界では「100年に一度の大変革」というフレーズがよく聞かれる。
その中身は、EV、自動運転、コネクテッドカーという技術の研究開発が進み、それらが融合してモビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS)として社会実装される、という予測がベースとなっている。MasSでは、様々な移動体を効率よく組み合わせたサービスによって、より快適で充実した生活を、または企業にとっては効率的な経営を後押しすることを目指す。

MaaSの代表事例としては、アメリカ、中国、東南アジア、インドなどで急速に普及が進むライドシェアリングがある。ライドシェアリングは自動車のみならず、ここ1~2年で自転車や電動キックスターターでもサービスが始まったが、早くもサービス事業者間での価格競争や法律への不適合、さらには地域住民との間でのトラブルなどが起こり、倒産する事業者も目立つようになった。
また、北欧フィンランドでは2018年1月、バス、電車、タクシーなどの公共交通の移動データのオープン化を義務付ける法律が施行されたことを受け、公共交通を月間定額料金で利用できるサービスが始まるなど、世界的な公共交通再編の動きが活発化してきた。

こうした世界各地の動向を、経済産業省では分析し、2018年からMaaSに関する有識者会議を実施。同年10月には、中間整理を公表した。
そのうえで、2019年度から全国各地でMaaSのアクションプランを実施する予定だ。今回の「モビリティサービス地域連携会議」は、そのキックオフである。

 理論から社会実装へ。NTTドコモ中心の「ヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジ」

「モビリティサービス地域連携会議」に参加する地方自治体では、2019年度からのアクションプラン参加を睨んで、すでに行動を起こしている。
その中で注目されるのが、横須賀市だ。「ヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジ」(2019年1月24~26日)を、NTTドコモを中心に、通信事業関連企業の先進技術研究開発センターを集積する横須賀リサーチパーク(YRP)で開催した。
横浜国立大学の研究者や、地元の交通事業者である京浜急行など、横須賀周辺企業や団体が連携して、横須賀をより住みやすい町に変革させようという試みだ。
場内では、5Gなど通信技術を活用した各種のモビリティサービスがプロトタイプとして展示された。

例えば、ベンチャー企業「ティア4」とNTTドコモが共同開発した、レベル4の自動運転タクシーでは、YRP敷地内の公道を、運転席に人が座らない状態で走行する。運転はYRP内の施設に設置された機器を使い、遠隔操作も可能だ。名古屋などでもこうした公道実験はすでに行われているが、今回は地元警察の許可を得て、時速40キロメートルを上限とした走行が可能となった。実車を見たところ、助手席には緊急停止用のブレーキペダルが装備されており、走行中は助手席に常時、システム管理者が乗車する。
この他、凾館未来大学発のベンチャー企業「未来シェア」とNTTドコモが連携した、バスやタクシーの効率的な配車システムが紹介された。室内で走行する電動車椅子などのパーソナルモビリティが歩行者との接触を避けるためのWi-Fi活用技術など、各種の技術展示もあった。
また、市民も聴講可能な各種シンポジウムや、アイディアソンなども開催された。

日本における、新たなるモビリティサービスの在り方について、横須賀市をはじめ、2019年度から様々な試みが始まる。

記事のライター

桃田 健史氏

桃田 健史   自動車ジャーナリスト

専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。
一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。
インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。
海外モーターショーなどテレビ解説。
近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラダイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

 

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